新入居者(1289)

久しぶりに大谷翔平選手の試合を、彼が降板するまでずっと見た。最後の最後で「上手の手から水が漏れる」を目の当たりにした。解説の武田一浩元投手が、「本当に野球好きの、野球少年、野球小僧ですね」と話していたが、実に言い得ている。これほど野球を楽しんでいる選手はあまり知らない。きっとみんなそうなんだろうけれど。

咋日(4月4日)は、珍しくというか不幸にも強烈2人組との仕事。こんな時は「沈黙は金なり」で過ごすのが一番だ。まず距離を取る。着替えた後の最初の仕事は、自分の体温測定。35度6分。次に連絡ノートに目を通し、便秘が続く入居者の今朝までの現状をチェックする。1日の人は「-1」、2日の人は「-2」と記載されている。出れば「0 便困解消」と書かれてある。最初何も習ってないのに、獰猛さんに「ベンコンは❓」と訊かれて、「ベンコン⁉️」と訊き返したら、「ベンコンよ💢💢💢もういい」とドヤられた。これには参った。記録を見れば書かれていることなのだが、夜勤者への連絡は口頭でする決まりらしい。仕事を始めたばかりで、そのルールさえも教えてもらっていないから知らなかった。一言「『排便困難』を略して言うんですよ」と説明すれば済むことなのに。一事が万事。

この後の仕事は、午後の入浴介助まで、利用者の見守りが中心なので、「イス体操」という座ったままの運動をビデオを見ながらやっていく。この1ヶ月をみていると、ほとんど実行されたことがなく、気になっていたが、先週新しくきた介護人のK村さんが、いきなり始めたのを見て、「これはいい」と倣った。いつも車椅子でもウトウトしている93歳のおばあさんも、穏やかな90歳のおばあさんも、帰りたい願望が強いリュックサックを離さないおばあさんも、いつも微睡んでいる福島出身のおじいさんも、みな覚醒して足踏みや手のニギニギをやる。

<ニチイ学館横浜校の初任者研修ではレクレーションまでは学べなかった SNSから>

日頃、身体を動かさないからとても嬉しそうで、「それなら」と私がB勤務(午前9時半〜午後6時半)のときは、やることにした。もう1ヶ月を過ぎたので、やるべきなのにやってこなかった他のレクリエーションなども取り入れるつもりで、ニチイ学館横浜校で習った、かな❓と思い、テキストを引っ張り出して読んでみたが、初任者研修では習わないようだ。

昨日は、昼前に新しい入居者がやって来た。まさに昼ご飯時、彼女の分まで用意してあったので、いきなり一緒の食事会となった。が他の人たちとの意思の疎通が難しい。これまでは横浜市内の別の施設にいたらしいが、認知症が酷くなったためこちらに移転ようだ。

「4月4日正午に新入居者」と事前告知があったことと認知症がかなり酷いことなどの簡単な説明が回覧された程度だったから、これだけ症状の人は、先月応援で行った時に会ったB組(認知度が我々のA組より進行している利用者が複数いる中程度グループ)の2人より重度かもしれない。

昨年夏、母の新盆を期して始めた介護で、7月から9月まで2ヶ月間働いた有料老人ホームでは、重い認知症の人が何人もいたので、そのときは、「こんなもんかぁ」と思っていたが、久しぶりにちょっと緊張した。それ以上に本人が環境が変わって、もっと驚き、戸惑い、不安だと思うので、なるべく側にいるようにしたかったが、豈図らんや相方のキャインさんから「全ての持ち物の搬入、記入お願いします。私は昼休みに入りますから」と至極当然のこととして言い渡された。新参者なのだから当たり前か。

私も二つ返事で引き受けたのは、先月応援で行ったB組で、新入居者の男性の手伝いをしたのでばかりなので、大体要領は心得ていたからだ。ただ持ち込んだ荷物、それも衣料品は尋常でない多さ。女性だとこうなるのか❓その一つ一つに名前が書かれているかをチェックして、無ければ新たにマジックで書きこむ。さらに用紙にその特徴を、「長袖Tシャツ薄紫に白の横縞」などと書き込んでいく作業がめんどくさい。

日曜日は、B勤務の主な仕事である入浴介助がない(ただ血圧が150以上で、前回パスした人は日曜日に体調が良ければ入れるので、この限りではない)ので、キャインさんと同じ空間にいる時間が長くなる。鬱陶しいなと思っていたが、おそらく彼女だって同じだろう、この作業だと新入居者の部屋にこもってやるので気楽で好い。2時間ほどで済ますが、今度は夕飯の準備に忙しい。

この1ヶ月で分かったことは、キャインさんは自分のことはキチンとやって、それ以外のことや想定外の仕事が出来るとキャインキャイン吠える。つまり自分の世界以外のことには関わリタくないし、関わられたくないのだ。今日来た新入居者は、あっちにウロウロ、こっちにウロウロして回る。机の上の名札シールを剥がそうとする。トイレに行きたがるが行ってもしない。その都度、キャインさんは吠えまくる。「何処へいくの」「あなたの席はここでしょう」「動かないで」最後は大声で「あーイライラする」と叱責が続く。

なぜ彼女はこの仕事についたのだろうか❓最も向かない仕事だと思えるのだが。入居者の93歳の男性が、たまたま昨日、彼女に「風邪をひいたのか❓」と訊いたら、「バカは風邪を引かないって言うでしょう、私は馬鹿だからこんな仕事しているのよ‼️」と言い返していた。ダメだこりゃ。この仕事は、馬鹿ではできないと思うし、一生懸命やっている他の介護の人に失礼だ。自分がやっている仕事は、どんなことでも誇りを持って、しかも楽しく取り組むことが大事だ。ここ半年くらいの間に、NHKの「プロフェッショナル」と「BSスペシャル」で横浜のゴミ収集車の収集人のドキュメンタリーを見たが素晴らしかった。真面目に仕事に向き合うプロは、こうでなくっちゃと思わせた。私は記者が天職だと思っているが、作家や大学教授や出版社代表の次に、この介護の仕事は自分には向いていると本気で取り組んでいる。確かに、いや絶対、政治家よりは向いている。

それにしても引っ越して来たばかりで、いきなり怒鳴られる彼女も気の毒の極みだ。見ていられなくて調理中だったが中断して、「新しいお部屋が出来たから、見に行きましょう」と手を繋いで連れていくととても落ち着いておどどした表情が消えた。当たり前だ。健常者だって、引越して来てすぐには、新しい環境に馴染めるはずがないじゃないか💢💢💢。どうしたらああいう風に残酷になれるのだろうか。ヒトラー然り、アイヒマン、スターリン、金正恩、習近平、日本の特高も公安も然りだ。

いや人間の心の奥底には、底意地の悪さ、残虐さが常に潜んでいるのかもしれない。獰猛さんとキャンインさんの話はもう書かないようにする。読む方もウンザリするだろうから。

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