ヒヤリハット(1311)

介護の日なので、自宅を午前7時過ぎに出る。到着すると泊まり明けのN東寺さんから、「昨日O田さん(女性)から、『小俣さんが来たらA子さんを入浴させて下さい』との伝言を頼まれました」と。おー来たかぁ〜。今日はA勤務なので、本来は入浴担当では無いのだが、B勤務者がこのユニットを初めて担当すると聞いていたので、万一、つまり皆んながA子さんの入浴介助を避けて何日も入れていなかった場合、に備えて着替え一式を持参していた。

   

「やっぱり」。この休日の3日間のうち2日はキャインさんがB勤務なので、彼女のことだから何か理由をつけて「入浴中止」にしていることが想像された。つまり予測通りだった。彼女は常に「自分ファースト」だから、「利用者、入居者、2の次3の次」。

A子さんの入浴は、この前私が入れた5月4日以来、5日空白があった。普段は「お風呂に入りましょう」というと「いゃ😊」と笑うところが、「うん」というから気持ちが悪かったのか。確かに車椅子から入浴椅子に移すのは、結構緊張するし、腰を痛めがちになる。それは私が未熟だからだろうが、念の為腰痛防止ベルトを着けるようにしている。

丁寧に、丁寧に、母親を風呂に入れるように、と云っても実際に母を入れたことがないのだが、足の指の間までアカスリ用のソフトタオルで洗っていく。気持ちがいいのか、目を細める。風呂上がりは、事前に準備したポカリスエットを上げるが、本当に眠そうで半分くらい飲んだところで、眠り込んでしまった。慌てて部屋に連れて行き、ベッドに横たえる。穏やかな顔をして眠り込む。「このまま目覚めないのでは・・・」と毎回心配になる。93歳ともなれば、いつお迎えが来てもおかしくないし、病気一つしていなくても「老衰」とは、こんな感じで「眠るように」という表現がピッタリくる。

O田女史の依頼はA子さんのみだったが、Mさんは4日入っていないので、「Mさん❗️お風呂入りましょう」と声をかけると、両手を合わせて「ありがとう、ありがとうございます😊😊」と喜んでくれる。自分で歩ける彼女の介助は楽だ。ただぬるいお湯が好きなので、温度調整をして、何度も「熱くないですか❓」と訊くし、自分でも手足に湯をかけて確かめるようにしている。湯船に入ると目を細めて、「あ〜気持ちがいい❣️」口に出して喜んでくれる。やりがいを感じるのはこんな時だな。彼女は、ほとんど認知症とは思えない。名前を覚えられない程度で、「俺と変わらんじゃん」と思うほどだ。一気に2人を入れた頃、B勤務のN里さんがやって来た。

彼は、私より「ずっと歳上」というから73〜4歳だろうか。本人から言わないことは聞かなあいようにしている。取材なら訊くけれど、それ以外は「聞かず、自分のことは訊かれない限り語らず」が私のスタンスだ。N里さんは自分から、大学時代のことやインベーダーゲームの会社に勤めていたことなどを話す。サービス精神が旺盛なのだろう。私も「社会人になった頃、一時期集中的にやりましたね。春闘で半日ストライキのときなど、みんなで喫茶店に繰り出して、(スト)解除になるまでずっと、そこで使い果たした金の方がベアより遥かに多かった」と私も鹿児島時代を思い出し話をする。「おかげさまで、何度もボーナスが出ました。あのゲームを開発した人は、会社が家を一軒、横浜市に買ってくれたんですよ」と楽しそうに話していた。

彼がすごいのは、私たちが気づかない汚れを見つけては、キッチンハイターを使って片っぱしからピカピカにして行ったり、A子さんの車椅子のタイヤが凹んでいるのを見つけて、空気入れを調達してきてパンパンに。ついでに車椅子全体を綺麗に磨き上げる。まさに労を厭わずだ。私など日々に追いかけられるばかりで、とても目配りができていないことを痛感させられた。これからはN里方式でやっていこう。

とにかく今日は、全員よく眠った。季節が良くなって、全ての窓を開け放して空気を入れ替えると爽やか風が舞い込む。A子さんとMさんは自室でだが、後の4人はソファーで微睡む。O村さんが昼食になっても起きないのには参った。身体に異常が⁉️と心配したN里さんは、すぐにバイタルを測る。この辺の動作が機敏で、ベテランのベテランたる所以だ。結局ただ寝こけていただけど分かりホッ。

その時気づいたのが、顔の左側目の周りが、ボクシングで殴られたの時のような赤黒いアザが出来ているではないか。私は朝からずっと浴室にいたので、掃除を終えて洗濯を済ませて出て来た時には、もう昼食の準備に入っていたので気づかなかった。すぐに施設長に電話すると飛んで来た。この3日間のノートを見ても何も書いていない。が今日の傷ではない。この鬱血の感じなら一昨日か先一昨日だろう。「聞けたら、どうしたのか聞いてみて下さい。それから居室に連れて行って、背中やお腹にアザが無いかも見て下さい」と。おーそうかぁ虐待ということもありうるのか。

午後から彼女をトイレに連れて行った後、部屋で「チョット他も怪我をしていないか見せて下さいね」と声をかけながらチェックしたが、何もキズは見当たらない。「お顔はどうしたんでしょうかね⁉️」と話しかけると、何と4月4日の入居以来、初めて「うん」と「トイレ」以外、フレーズで喋った。「自分で転んでしまったの、フッフッフッ😅😅😊」と笑う。「あーそうなんですか、痛かったですね」「う〜ん」もういつもの単語に戻っていた。普段の様子から、私なんぞはついつい”あの人” が⁉️と疑ってしまった、トホホ。

忙しかったが、N里さんとは丁々発止で、終始助け合いながらやることができて満足満足、と思いきや。帰る間際にやって来た夜勤のS宮さんが記録を読みながら、いきなり大声で「小俣さん💢困りますよ😡😡😡A子さんを午後からも居室で寝せちゃ」「えっ😨😨😨😨🤯」「夜中に起きていて、全く眠らないんだから」。そうなのか、車椅子で寝ているのは疲れると思ったからだが、そういうものなのか⁉️「初めて聞いたことなので、以後注意します」と素直に謝った。彼女はポンポン言うけれど、別に悪意はなくて、間違いややるべきところをやっていないことをビシッと指摘するだけなので、言われた方も納得がいく。しかもベテランのN里さんと初対面らしく挨拶していたが、O村さんのケガについて、「ヒヤリハット」(冷やりとしたり、ハッとしたことを文書に残して置き、責任の所在を明確にしておくこと)は、事故報告書に書いておかなくて良いのですか⁉️」と尋ねるので、私が、「今日の行動記録のO村さんのページに書いておきました」と応えると、横からS宮さんが、「ここは本当にダメな施設なのよ。本来は自己報告書にキチンと残していなければならないのに、全くそういう対応が出来てないのよ。本来ならこんな怪我させちゃいけないんのに」と憤慨していた。こういう時、新参者の私はひたすら傾聴するのみだ。今度介護のベテラン中のベテラン、郷里の才媛N井さんに訊いてみよう。

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