小笠原 島便り2017 (20)南島上陸 / 622

船でしか行けない。東京都認定のガイドが付いていないと観て回ることができない。1チーム15人以内でないと上陸できない。定められたコースしか歩けない。場所によっては置石の上を注意深く移動しなければならない。島にある一切のものは、持ち出してはいけない。「ない、ない尽くし」の島、それが父島の南西に浮かぶ孤島<南島>だ。 


▼昨日の熱中症はすっかり回復して、起きるやいなやスーパーの小祝にスパゲティとキムチとロックアイスを買いに出かけた。カジキマグロのアラが150円である。刺身にする本体は、既に売り切れていた。これを野菜と煮込めば好いツマミになる。今日(6月23日)はおが丸の入港日なので島中の店が、観光客の上陸を待っている。朝の全島一斉連絡では、「おがさわら丸の入港時間は午前11時20分、乗船客は616人」とアナウンスが流れていた。20分遅れは、今年4月から始まった、たまに八丈島経由のコースができたからだ。観光客が来るということは、電動自転車が借り出されてしまわないうちに借りなくては・・・といつもの小笠原観光に出かけた。

▼「今日も6時間」と1900円を渡した後で何気なく訊いた。「南島に渡るには、どこの船会社に聞けば良いの?」「ウチでやっていますよ」「エッ・・・」しかも船は入港日の午後1時に青灯台下を出航、午後5時前に帰港するというではないか。「乗る、乗る」と方針変更。これじゃ電動自転車を借りる意味がないので、キャンセルして、代金5600円を支払った。安いのか高いのか、乗ってからのお愉しみだ。 

▼午後1時、乗客12人全員が揃った。ここではライフジャケット、シュノーケル、足ヒレの3点セットを貸してくれる。もちろん料金内だ。このほか船の中では冷えた水やコーヒー、味噌汁が自由に飲める。魚を釣るあお灯台のすぐそばから出航。10分もしないうちに、20代半ばの女の子が海に向かってお店を広げ始めた。彼女は船が南島に上陸するまで、ヘリに身体を預けた格好でへたり込んでいた。 南島に上陸した時に聞くと、「去年も同じ状態で、島にも上陸できなかったんです」と笑う。「おが丸は大丈夫だったの?」「いいえ、ずっと戻していました、でも小笠原は好きなんです」凄いね、この執念。


スタッフが常に2人付いてくれる

▼途中船長がイルカを捜しながら航行していく。「11時の方向にイルカ発見!」と声がかかると、すでに準備していた我々は、5人ずつ船尾から飛び込む。イルカのそばでは足ヒレ以外使っては行けないと事前に説明されているので、必死で足を動かす。「見えた❗️ 3頭が海中を気持ち良さそうに泳いでいます」と思わず実況中継ぽく海中で叫んでいた。興奮するなぁ。こうして4箇所でドルフィンスイミングを繰り返す。宮之浜の真向かい、兄島のすぐ側では、熱帯魚🐠🐠がサンゴの間を泳ぎながら人間に近づいてくる。水中カメラを持参しなかったことが悔やまれる。が、今度は逆方向から見た映像をパチリ。さすがにiPadだと大き過ぎて船内では迷惑だろうと思って、   iPhoneしか持ってこなかったが、十分活躍してくれた。


兄島の海岸で  船が揺れるのでピンが緩い

下は兄島側から見た宮之浜


▼南島に上陸。何だか普通の無人島のようだが、砂地には大きな穴があったり、ここに海亀の卵が埋まっていることを示す棒切れが何箇所にも差し込まれている。世界遺産に登録される前は、気楽に上陸してどこでも自由に行けていたらしい。そういえば来る途中何頭もの海亀が泳いでいるのが見えた。「おつかめ屋」のT地さんが、「父は漁に出れば午前中だけで5頭は仕留めてくる」と豪語していた言葉も首肯ける。 船で話をするようになった30代前半の女性は、八丈島から来たという。友達を誘ったら、「何で小笠原?似たようなもんじゃないと誰も付き合ってくれなかった」と笑っていた。しかし八丈島と小笠原島とは全然違うわね。本土から300キロと1000キロじゃ。それにしても年間2万人あまりが訪れるというが、八丈島からというのは確かに珍しいかも。


崖を登れる若者たちは頂上へ   我々は下から手を振るのみ

▼上陸したのは、南島だけだったが、島の西側の島々は全て見ることができた。私はあと境浦海岸で泳げば、ほぼ制覇?したことになる。流石に脊柱管狭窄症と戦いながら登るのは無理なので、山や峠は、電動自転車で行けるところまでにした。今日(6月23日)も移動するたびに10歩〜15歩歩いては跼む格好を取らざるを得なかった。まさに「跼天蹐地」を地で行っているわけだ。カンカン照りの下だったが、昨夜睡眠が十分だったせいか、少し疲れた程度だった。この海上島巡り半日コースは、十分満足できた。これで小笠原父島は、結構満喫できたので、あとはのんびりシュノーケリングや魚釣りを愉しみながら、ますますタラタラ過ごすことにする。 

扇池


海から見たハートロック(赤土の部分がハートの形)天然記念物(触っても良いと)

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