愉快なり怠惰な日々 / 582

    このところ家の近所にしか外出しなかったし、ゴロゴロ寝転んで本を読んだり、TSUTAYAで借りた韓流の「推奴(チュノ)」を見たりして過ごしていたから、記録にとどめるほどのことがなかった。だが、植草甚一責任編集 1976 雑誌『宝島』をパラパラ読んでいたら、実にたわいもないことを沢山書いてあって、それがまた面白かった。私と植草大先生を比較するのは畏れ多いが、私は「存在自体に意味がない、『まるでお主は屁のような』と言われる人間になりたい」と思っているので、まぁ好いか〜と雑記を綴り始めた。

在りし日の吉本さんと

    このところ吉本隆明全集の書簡集が面白くて、叩きつける大雨や雷の音を聞きながらベッドで終日読み続ける。この書簡に出て来る順に吉本さんの本を取り出して、読み返してみるのが面白そうだと思いながら、きょう(22日)未明、やっと読み終えた。途中雑事が多かったからね。この本の特徴の一つは、ハガキや手紙を写真で掲載しているところで、1960年(昭和35年)8月16日のハガキから2000年9月15日の手紙まで、40年間にわたる吉本さんの文字の変容も面白い。

 日々買い物、食事、風呂当番

    18日は午前中夕食の買い出しに出かけて、午後からプールへ行こうと準備をしていたら雷が鳴り出した。「やすらぎの郷」を見たお陰で、家を出るのが遅れた分、ずぶ濡れにならずに済んだ。この日は、グラバー亭で長崎皿うどんを食べてから行く予定だったので、昼飯は野菜たっぷりのマルタイラーメン。ベーコン、ニンニク、もやし、キャベツ、人参、ピーマン炒めを大きなラーメン丼にドーンと乗せる。美味い。やはり九州の人間は、マルタイラーメンたい。

夜はカツオの刺身と肉豆腐を作る。肉豆腐は25年ほど前、B藝春秋のビジュアル文庫B級グルメを執筆していたとき、『おいしい銀座』の「銀座のランチ」で紹介した歌舞伎座そばの定食屋「蓬莱」を真似て、キャベツと肉と豆腐だけにしたいところだが、私はこれにタマネギ、茄子も入れる。水は使わず、野菜と豆腐から出る水分と酒とみりんと根昆布出汁で味付ける。ウチではこれが実に好評なのだ。

 ドンキホーテ初デビュー

19日は吉本さんの本を読んでいるうちに、気がついたら午後1時半だったので、近所の中華料理店萬福で冷やし中華とエビのチリソース。エビチリが来たところで、ついついハイボールを注文。

妙蓮寺の萬福にて

あぁこれでプールはなしだな。一眠りした後、Oリンピックに、ペンチやドライバーが入った工具一式を買いに行ったが、思いの外値段が高かったので、自転車で新横浜のドンキホーテという安売り屋に回った。これまで65年間、購入する物のほとんどは、値段を考えずに思いつくままに買っていた。もちろん「身の丈に合った人生」をモットーにしてきたので、別に贅沢をしてきたわけではない。だが定年を迎えた4月から値段を見たり、他店と比較したりするようになり、遅まきながら消費者感覚に目覚めた。ということで、帰りに東急ストアに立ち寄り、大安売りのホタテ貝を沢山買って、晩ご飯はホタテの刺身とポトフ。ホタテ貝の炊き込みご飯。最初はホタテ貝とカブだけを煮込んでいたが、途中から気分が変わって、冷蔵庫にある野菜は全部投入した。ホタテ大好きの娘は大喜び。

ホタテとカブ➕たまねぎ、ナス、他の野菜

ところでなぜペンチや金槌など工具が必要だったかというと、野鳥の餌台、餌の小屋を備え付けるためだ。山の上は庭が今より広かったので、野鳥の餌台を書斎の真ん前やリビングの側のテラスの端に作って、休日には何十分間も眺めては癒やされていた。それをここでもと。来る、来る。シジュウカラや小綬鶏が。もっとどういう野鳥が来ているのか調べなくては。

日本トイレ協会定期総会

    20日は、午後1時半から日本トイレ協会の定期総会が、赤坂見附に近い(永田町2丁目の)山王グランドビルで開かれた。

トイレ探検隊の時に大変お世話になったので終了後、個人会員になった。午後3時前に総会自体は終わったが、引き続き会員の講演があるというので、その間、ちょっと失礼して近くの大分料理の店「とど」に顔を出し、姐さん(と私が勝手に呼んでいる)たちと「大分県人会」で、まずはビールで乾杯。ここの「りゅうきゅう」という、まぁ私が作る「うれしの」によく似た刺身のつけ込み、大分の「薩摩揚げ」(豊後揚げとは言わない)、我々がいた頃にはなかった「とり天」、板長のサービスで大根とぶりのあら煮、〆はだんご汁。お店の千原しのぶさん似のW貫さんに、「今度浅草辺りでデートしたとき、知り合いに会ったら『家内です』というから、『主人がいつもお世話になります』と言ってね」とお願いしたら、早速やって見せてくれた。こういうノリが好きなんだな。

今夜も夜更かし朝帰り

午後5時過ぎになったので、再びトイレ協会の懇親会に戻る。ちょっと新参者としての挨拶をした後は、お世話になった方々にお礼の挨拶やお酌をして回る。このあと近くの赤坂で、さらに12時過ぎから新宿ゴールデン街の「音吉」、花園神社横の「すし好」で刺身とトロ鉄火など巻物でまたまたハイボール。私はサントリーに貢献している。

トイレ探検隊隊員の店「音吉」にて(ゴールデン街の中で一番トイレが広いと言われている)

愉しい時間はすぐ過ぎる。そして今夜も何もなく更けて行く。いや老けて行く。午後3時からほぼ半日呑み続けて、横浜に帰ると空が白味がかっていた。5月の飲み会は26日に、親友の吉崎雄ちゃんの「一周忌」を、この前大分でやったけれど、今度は東京で娘さんと一緒に飲むことにしている。「御茶ノ水イカセンター」か道玄坂の鮨屋「春夏秋冬」か。楽しみだな。

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