介護の世界を覗いて見た(1163)

先週の敬老の日は、これまでと違った感慨を持って向かえた。それは今年の7月28日から9月19日まで、週に3回神奈川県内にある有料老人ホームで介護の仕事をしていたからだ。以前(8月15日)このブログで、<世の中には数多の職業があって、おそらく私の友人、知人は棺桶に入るまで経験することがないと思われる仕事を、今積極的にやっている。とはいえこの歳なので、週2~3回>と書いたのがこれだ。

<住宅地の間に畑が残る場所に「有料老人ホーム」はあった>

そんな私が、「介護ワークをやってみよう」と考えるきっかけは、いくつかあって、その一つが昨年の選挙運動中、「高齢者が安心して暮らせる社会を」「介護福祉の充実」などと訴えて回ったことにある。実際に宮崎県日向市内の「グループホーム」を訪れて、施設長や働いている人たちの話や婦人会の女性達の声に耳を傾けたが、実態を何も知らない情けない候補者だった。このことはずーと引きずっていて、半ば反省しつつ、半ば怖れながら各地を回っていた。だから落選して程なくしてから、後付け取材同様、「介護の仕事をする」と決めていた。それが1年以上も経ってからなのは、その前にもう一つやっておきたいことがあったからで、それはいずれ書いていきたい。

もう一つは、65歳になる前後に再読した、吉本隆明さんの『老いの超え方』にある。さらに吉本さんが「介護の職人」と言われる三好春樹さんとの対談『<老い>の現在進行形』の中で自分がボケた話などを縷々語っているのも関心を高めた。

加えて、60歳を過ぎた頃から古い友人やN協会の先輩たちと『ゆかり協会』という終末期を明るく元気に向かえられる様にサポートしていく団体を立ち上げたことも大きい。現在は何となくぐずぐずになっているが、この協会でこれまで何度も耳にした「介護」「認知」「特別養護老人ホーム」などなどの実態を、耳からだけでなく実際に体験してみたいと考えた。

いくつになっても、三つ子の魂なのか、記者の性分なのか、「取材してなんぼ、現場に行ってなんぼやろう」という思いが背中を押した。

スポンサーリンク

フォローする

スポンサーリンク