告別式、円覚寺、共同墓地 巡礼 (1370)

昨日に続いて今日(8月22日)も午前11時からの告別式に出かけた。コロナ禍で「近親者のみ」という新聞記事に得心がいったのは、本当に家族と親戚、それにA田芳生さん、I 井さん、私のコアのメンバーだった。万一葬儀が原因でコロナに感染するようなことがあれば大変な事態になる。それを気にしない近しい人たちだけというのは、列席していてよくわかった。

告別式の後、初七日の法要も営まれた。亡くなったのが8月15日だったからちょうど初七日に当たる。

<告別式が行われたカドキホール>

昨日と同じ住職の長い長い読経を聞きながら、そういえば赤坂見附駅の上、ベルビーの7階にあった『燦』で、家人を紹介してくれたのが松井さんだったことを思い出した。忘れられないのは、その時「ウチ(文春)には、誠備グループとアンノン族とがいて・・・」と社外の人間にはよく分からないことを言い出した。彼によると、「誠備グループは、当時仕手戦で名を覇した加藤暠(あきら)氏と政美(家人の名前)をもじって呼んでいて、アンノン族は画家の安野光雅さんのお嬢さんのファンの総称だ」と説明した。

告別式と初七日が終わり、松井さんが好きだったという宇崎竜童さんの「相聞歌」が流れる中、棺を生花で埋め尽くしていると葬儀社の人が、「これが最期ですから、そばに寄ってお別れを言ってあげてください」と二度、三度というので、私も再び近づいて松井さんの頬を撫でてあげた。ヒヤリとした感覚が走った途端、立派な息子さんを残して逝った松井さんの無念が伝わってきて、涙が止まらず、それは嗚咽に変わり、メガネが曇って周りが見えなくなった。「むげねぇなぁ(大分弁で、可哀想、残酷だな)」とすっかり使わなくなった郷里の方言が思わず口をついて出た。棺の頭の右側を担いで霊柩車に乗せた時、本当にこれが最期の最期だと思ったら、また涙が止まらなくなった。心に残るいい葬儀だった。心からご冥福をお祈りします。

駅前でアリちゃんたちと別れて、東急ストア鎌倉店で花束と線香を買い、隣の北鎌倉駅に向かった。駅前の臨済宗円覚寺にある昔親しかった友人の母上が、この5月に亡くなったと伝え聞いたから墓参りをしようと思い立ったからだ。白金の実家に遊びに行くと作ってくれた「塩むすび」が美味しくて、『おむすび権兵衛』やコンビニなどで見かけると思い出していた。

30年ぶりに墓を探して右往左往、長い坂道を行ったり来たり。あの頃私が墓石屋(確か石長に頼んだと思う)を探したこともあり、何度か訪れていたので簡単に見つかると思ったのだが、結局1時間以上たっても埒があかず、炎天下疲れ果てて引き上げた。

                

おそらくもう北鎌倉に来る機会はないかもしれないと、駅のロータリー側にある『光泉』に立ち寄った。小津安二郎さんが愛した「いなり寿司屋」で、これまでも何度か訪れたことがある。今はコロナで店内での食事はできず、持ち帰りのみというので2箱買った。

「いなり寿司」を買ったら急にウニが食いたくなった。昼食が未だだったので横浜駅で乗り換える時に『網元伊豆』に足を運んだ。午後3時過ぎだったから客は私ともう一人だけだった。まずはノンアルコールビールで喉を潤し、ウニ2皿、シマアジ、平貝からスタート。ここは魚がびっくりするほど新鮮だが、ワサビとガリが残念の極み。私は注文するとき、必ず「シャリ小、ワサビ抜き」を頼む。シャリ小はその分たくさん食べたいからで、サビ抜きは店に入る直前に買った「SB本わさび」を密かに使うからだ。これは皿に出して、こっそりネタに直接つけて食べる。美味い!!

ウニはイマイチだったが、鮮度超抜群のシマアジはさらに2度頼んだ。あとはヤリイカや大好物の光ものを次ぎ次ぎと。これだけ食べても、値段を言うのは品がないが3800円。「ありえへん」といつもいい意味、予想を大きく下回る安さだ。しかも次回来た時のためにとビール(ノンアルコールでも)サービス券をくれるから凄すぎる。

店を出て喫煙コーナーに入ったらバッタリ、以前いた介護施設の夜勤専門の優しい方の女性に出会った。「わー、わー」とお互いに喜び合い、思わずハグしそうになる。それを言うと大笑いしていた。この人は私にはとても親切だった。

帰っても誰もいないし・・・、そうだお盆の時、長雨で中止していた山田英幾さんの墓参りに行こう。踵を返して元町中華街に向かった。途中東横線横浜駅のコーナーにあるセブンイレブンでビールを2本買った。ロング缶を置いてないんだな。

太平町の外国人共同墓地にある山田さんの墓には、この17年四季折々か最低でも年2回は訪れていたのに、コロナということもあって珍しく1年は来ていなかった。「墓も磨かんとねぇ〜」と独り言を言いながらバケツに水をいっぱい入れて、階段を登り切り、キリスト教墓地に近づくと遠目でも素晴らしい百合の花が見えた。お隣さんかな?と思いつつ近づくと山田家の墓ではないか。それも新しい。すぐに察した。お盆が雨続きで墓参りに来られなかったから、ここ2〜3日のうちにお参りしたのだなと。私の花がみすぼらしく見えて、せめて「光泉」の「いなり寿司」とビールでもと手向ける。以前ここで飲食しないように注意を受けたので形だけ。

たばこを燻らせ、秋風が頬を撫でていく。ボーとしていると山田さんとの楽しかった日々を思いだす。ついつい「あの彼女はどうしているかな」と鹿児島時代の色の浅黒い黒目がちなシンシアによく似た笑顔が浮かび上がった。

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