立ち食いそば探訪記【90】<山田製麺所 浅草入谷>(1509)

せっかく浅草まで来て浅草寺裏、言問通りの『千葉屋』の「大学芋」を土産に買わなくては、家人の覚えがめでたくない。大学芋と侮るなかれ。蜜にまみれた大ぶりの芋、さつま芋のチップスは他では出せない味わい深さだ。いつも何人か客がいるのもこの店の特徴で、私の前に2人、後からカップルがやって来た。ビルの1階だが、このビルは芋で建てたと噂されるほど人気が高いということだが、もちろん未確認だ。

<SNSから。以前何回か撮影しているのだが、探しきれなかった。今は値上がりして1袋400g 800円>

この後、日比谷線入谷駅から徒歩5分の『山田製麺所』に午後2時半前に滑り込んだ。メニューに、大好物の「玉ねぎ🧅天」と「ごぼう天」があったので、温かいそばで戴いた。500円だった。「玉ねぎ🧅」はもちろん、シャキシャキした「ごぼう天」は、歯応え良く、飲みやすい汁(つゆ)と相まって好い味を奏でる。飽きのこない、みんなが好きな、典型的な「立ち食いそば」だった。

閉店間近だったので、客は私1人。3代目の若主人山田賢一さん(41)と、立ち食いそば談義に花が咲いた。ここで作っている山田麺は、秋葉原の『二葉』や日暮里の『六文そば』に卸していることや、浅草界隈は立ち食いそば屋が多くて、他のお店からも引き合いが来るものの、「二葉さんに近かったので請けなかった」など、商人の義理堅さに好感が持てた。

またコロナでこの2年の間に、知り合いの店がいくつも閉店に追い込まれたことや4代目(未定)の息子さんが、そばアレルギーなので、もし跡を継いでも好いように、「うどん」だけでなく「ひもかわ」も扱っていることなど、普段忙しくて聞けない話も語ってくれた。

その時奥から、2代目のご主人米三さん(83)が出てきて、「今、『入谷警察署ですが』と、女の声で電話があって、どうもまた詐欺グループっぽいんだ」と言いながら話に加わった。「また」と云うのは、以前賢一さんの名を騙った「オレオレ詐欺」に遭遇し、騙されたふりをして家族みんなで捕まえ、入谷警察署から表彰されたそうだ。真に迫った話ながら、ついついマヌケな詐欺師に笑ってしまった。

とても愉しい、超感じの好い親子で、人気のほどが分かった。ゴールデンウィークは、カレンダー通り営業することを確認して引き上げた。

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