iPad Proで読むマンガ『東京タラレバ娘』/ 518

 日本テレビの「東京タラレバ娘」がいま一番の贔屓で、リアルタイムで見る数少ないドラマの一つだ。病膏肓にいるの例え通り、原作が読みたくなった。実は女の子のマンガは買ったことがない。「あさきゆめみし」は元の彼女が買ったのを一緒に読んだくらいで、この手のマンガは今回が初めて。しかもだ。私が心のどこかで”軽蔑“していた中年オヤジの「電車の中でのマンガ読み」を私もやってしまった。もう65歳だから中年を遙かに超えているけど。私は常日頃、満員電車で、汗臭そうな(先入観)中年オヤジが、ネクタイを緩め、鞄を小脇に挟みながら『少年ジャンプ』や『サンデー』『マガジン』を読む姿を見て、日本の将来は無いなぁ〜と密かに呪ってきた。許容範囲は『ビッグコミック  オリジナル』(深夜食堂と黄昏流星群があるから好いかと・・・)の大人のマンガ雑誌までだった。

  

 そんな私が、そう日和ってしまったのだ。世界を裏切ってしまったのだ。トロッキストがスターリニストに屈したような、本だしが化学調味料に転向したように、環境保全派がゴルフを始めたような、原発再稼働慎重派だった某県のM知事が、当選したらあっさり選挙民を裏切ったように(他人の悪口は書かないようにしているので実名は避けるけど。あれは最低人間、最低の元政治記者と思っている。「羞恥心」が無い人間ほど醜い者は無い。政治部記者の全てが、彼のようないい加減な人間ではないと思うが、「裏切りだけが人生さ」と何が思わせるのだろうか)。

  iPad Proを買った。Kindleの便利さをこのところ体感していたせいか、もう少し大きい画面で読みたいとの思いが強く、しかもMacBook Airを大学に返却しなければならならず、書斎に残るのは27インチのどデカいiMacとiPhoneS6のみとなってしまうからだ。そこで25日の夕方、渋谷のアップルに出かけた。指南役は隣の研究室のL洪千さん、通称Lちゃんだ。マックを使うようになったのは、一昨年修了した大学院生ののぶちゃんに勧められたからだ。ミーハーの私に、「おまっさん、Macを小脇に抱えているとモテますよ」の決め科白になびいてしまった。あのひと言だった。実はいまから20年ほど前、私はMac党だった。当時は日本語環境が悪く、社会部はドンドンWindowsに侵食されていき、残るはO木紀之君と私くらいになってしまってとうとう離脱した。

  のぶちゃんが就職してしまうと入れ替わるように、慶応からLちゃんが准教授でやって来た。Lちゃんは娘のK香さんが小学4年生の頃からよく知っている、というか山の上の住んでいた頃、うちに暮らしていた。だから娘のベッドはLちゃんが占領し、娘は家人と一緒のベッドで寝ていた。彼は最近日吉に家を買ったが、それも家人が物件を探してきたほどで、甥っ子のような感覚、家族同然だ。その彼が信ちゃんに輪をかけてMac党で、なんと娘も家人も折伏されて全員Mac教に入信したほどだ。

  彼は、都市大に来た直後から口を酸っぱくして、「研究室と家を電子化しましょう」と言い続けた。まずやり玉に挙がったのは、研究室にある数千冊か分からない本だ。私が「本は悩みのタネだ」とブツクサ言っていたら、「自炊すれば好いじゃないですか」と言い出した。「自炊?」も知らない私は、彼の云うがまま。すでに1000冊以上は自炊してドロップボックスに入れている。お陰で私は着実に電子書籍化に目覚めつつある。研究室に残っている大量の本は、幸い後任が「置いていって構いませんよ」と優しいことを言ってくれたので、すぐお言葉に甘えてしまう。ただ流石に専門と関係の無い本まで残していくのは憚られる。

  自宅も2000冊を超える本で溢れていて、ここ1ヶ月で3分の2以上は処分するつもりだ。誰か岩波の『荷風全集』や『龍之介全集』『長谷川如是閑選集』『加藤周一著作集』(これだけ筑摩かな)をもらってくれないだろうか。今の時代古本屋さんですら、欲しがらないからね。お役に立つなら3月中に送るけれど。手放せないのは、一昨日書いた藤沢周平さん、宮城谷昌光さん、北方謙三さん、植草甚一さん、坪内祐三さん、コリン・ウイルソン氏の各作品で、それぞれ3〜40冊、中には50冊を超えるものもある。吉本隆明さんに至っては7〜80冊はあるだろう。いやもっとか。あと生きても10年か、15年だと考えると、これらをもう一度読み返した頃お迎えが来るだろう。

  で今日の話に戻ると、東横線の中で買ったばかりの9.7インチのiPad Proをドーンと開いて「東京タラレバ娘」を声出して笑いながら、読んでしまった。面白い。実に面白いのだ。羞恥心など忘れてしまった。隣のオバサンに変な視線を感じたが無視できる強さがこのマンガにはある。マンガのキャラに吉高ちゃんたち登場人物が重なって、妄想が妄想を呼ぶように愉しく読めるからだ。それにしても、Kindle、iPad Proにシフトしたのは正解だった。私は決してMacやKindleの回し者では無い。念のため。

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