吉本鍋 (1173)

3日寝ていたら、ずいぶん楽になった。このところ立て続けにやる事が多かったので、自分では気づかなかったが、身体の方は限界だったのかもしれない。貧乏性だからついついアレもこれもやろうとするのは悪い癖だ。カヌーイストの野田知佑さんみたいに、『のんびり行こうぜ』と何もしないで過ごした。雨も降っていたし。

こんな日々は、テレビやネットドラマも鬱陶しい。ベッドで読みかけの安全保障の原稿の、区切りのいいところで止めて、本棚から吉本隆明さんの軽いエッセーを引っ張り出して読む。『開店休業』(プレジデント社)は、『dancyu』という食いしん坊なら誰もが知っている雑誌に連載していたもので、もう15〜6年前のことだ。

吉本さんと言えば、「重層的非決定」「関係の絶対性」「巫覡(かんなぎ)論」などなどやたらと難解な言葉や内容の本が多いが、軽妙なタッチのエッセイも多々あって、私なんぞはもっぱらその手の本を愛読してきた。だから吉本さんとご一緒しても、高尚な話は無しで、もっぱら糖尿病でも食える美味い😋😋料理みたいな下世話なものに終始した。このことはすでに書いたと思う。

私のブログも食い物の話が多いのは、無難といえば無難だが、それ以上に、とにかく食うことが好きだから自然とこうなる。その『開店休業』の中に、「豚ロース鍋のこと」が再度少し内容を変えて掲載されているが何度読んでも、声を立てて笑って😊🤣しまう。

私たちの間では、通称「吉本鍋」と呼ばれている。今は大分に帰って紅茶を作っているM山紀子ちゃんや彼女の友達で、お姉さんが私と同級だったI男たか子さんの妹さんが、北大塚のアパートに遊びにきた時に作ってあげたら大変喜んだ記憶がある。私が大学4年生、つまり1975年頃だと思う。もう45年も前のことだ。

その鍋が最初に紹介されたのは、確か『詩的乾坤』ではなかったかと思う、今は手元に本が無くて確かめられない、間違っていたらごめんなさい🙏🙇🙇‍♀️  。それには「私が料理を作るとき」というタイトルで、病弱の奥さんに代わって作る得意料理として紹介してあった。至って簡単、シンプル。白菜の中に豚ロースを挟み込み、それをコトコト煮るだけ。これを玉葱をすりおろした薬味と醤油で食べると抜群だという内容だった。記憶では、「味の素」のことを「グルタミン酸ソーダを少々」と化学専攻らしい書き方をしていたように思う。

『開店休業』に長女の真帆さん(漫画家のハルノ宵子さん)が裏話を書いている。吉本さんが発案創作したように書かれてあるあの鍋について、「考えたのは私よ」と奥さんの和子さんが立腹していたと暴露。奥さんはニコニコしていて、私が挨拶すると「A岡(修)さんはお元気ですか❓宜しくお伝えください」という穏やかな方だったから、そのギャプが可笑しさを倍加させ、この文章にはいつも笑って🤣🤣🤣しまう。

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