小笠原 島便り2017 (23)大神山神社経由パノラマ展望台 / 625

大村地区にいる間に、晴れたら、“あそこ”に挑戦してみようと心に決めていた。私の体力で行けるところは、昨日(6月25日)の境浦海岸で一応終了した。「もし行けるのなら・・・」と思っていたのが、大神山神社だ。今宿泊しているナインボールから1分足らずのところに登頂口がある。まっすぐの階段。都心の愛宕神社の男坂より険しそうだ。熱中症予防として水分を十分摂取してきたし、何度も休みながらを肝に命じてスタート。

▼いやぁキツい。しかも一昨日から脊柱管狭窄症が最悪の状態だ。そのため、この日に備えて、前夜ベッドの端に座って、両手でそれぞれの足首を握り、腰を屈めてひたすら狭窄症改善運動をやってきた。今日(26日)も午前中1時間近く、サイモンとガーファンクルを聴きながらずっと腰を屈めていた。その甲斐あってか、これまで20歩も歩けなかったのが、調子がいい。しかも階段には手摺がある。無理をせず、それを利用しながら中段くらいまでは一気に。でもシンドイ。一休み。ここからでも海が見える。風が心地よい。 

▼赤い屋根が見える。神社か。じゃと残りも一気に。オット、違うじゃないか。まだ階段がある。あぁ〜ナンジャコリャ。また一休み。登りきったと思ったらまた階段。ようやく大神山神社の社が見えた。ここから二見港がよく見える。ふと右側を見るとまた階段がある。えぇどこまでなんじゃい。「ここまで来たら!」この発想が老人を熱中症にさせる。大丈夫、頭の中は「熱中症、熱中症」と呪文のように呟きながら階段を登っているから。休み休み、しかも陰を見つけて。


大神山神社

▼急に目の前が開けてきた。「メイン展望台」と表示がある。幸い日陰が少しあるので、ゆっくり休む。見晴らしがいい。まるで絵葉書の世界だ。落ち着いたところで、さらに山道を進むと目の前に大きな洞穴が見えてきた。

▼ここを潜るとまた階段が現れた。おいおい、どこまで連れていくんや。もってきた炭酸水は、半分凍らせていたのに氷が溶けてしまっている。もう頭から短パンまで汗でぐっしょり。おお〜この頂上から左手眼下に小笠原村小中学校が見えてきた。警察署、郵便局、村役場の建物がマッチ箱のようだ。すごいな、最初にここに来ていれば、繁華街がある西部地区を頭に描けたはずだ。 

メイン展望台からの二見港

小中学校、その奥左側に警察署、郵便局、村役場


▼さらに進むと今度は、二見港とは反対側の宮之浜に通じる道路が見えて来た。オレンジ色の花木があった円形の交差点も。名称は「ホウオウボク」だった。ここからは360度のパノラマの世界だ。これで終了?じゃないな。遥か向こうに更に高い小山が見える。あそこだな。今度は下りが少し続いて、また登りになる。道はまだまだ続く。無理をせず、ゆっくりゆっくり歩いたり、登ったりしながら出発から50分かけて、遂に最終地点、もうこれ以上道がないパノラマ展望台に到達した。 
熱中症にならない為にもこまめに休憩、水分

頂点 パノラマ展望台に立つ

▼手前の日陰らしい日陰がない休憩地で最後の炭酸水を飲み干す。今年で来島3回目めという群馬県の20代と思われるお嬢さんにお願いして撮影してもらう。1人だとどうしてもこれがね。時刻は午後2時15分、これから山道は下りだけと思われる東口コースを取る。来た道を戻ると途中でアップダウンがあるから、今度は間違いなくへばってしまいそうだ。急ぐ理由は、今日のおが丸で東京のY沢さん一家が帰ってしまうから、それを見送ろうという寸法だ。 

お見送り   Y沢一家は実に仲のいい、微笑ましい家族だった

▼20分足らずで降りきったが、地上も暑くてシンドイ。船着場前のバス停が、丁度山の陰になっていて風がよく通る。小笠原のリリーさん(と私が呼んでいる)ことシャンティバンガローのF沢夫人は、泰然自若、急がない人だから、どうせ連れて来るのは3時半の乗船間際だろうと、高をくくってゆっくり休む。午後3時を回ったところで、港に顔を出す。まだ来ていない。もう9割以上の人は船に乗り込んでいる。3時10分過ぎ、ようやく五郎ちゃん、秋子夫人の姿が見えた。初めて一緒に写真を撮った。宏さんとは随分前からの知り合いのような、不思議な気分だ。秋子さんが、五郎ちゃんに「じいじにサヨウナラは?」と言っている。好いね。しばらくすると、いつものように小笠原太鼓が鳴り響き、それを合図にみんなに見送られながら、船内に消えて行った。 


盛大なお見送りと恒例の伴走

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