老人の一日 /  565

      まだもらっていないが、退職手続きなどをしたので近々年金をもらうことになる。一気に「老後」が現実味を帯びてくる。朝は好きなときに目覚め、コーヒーを一人で入れて、ゆっくり新聞を読む。空腹なら鰺の開きや西京漬けを焼き、味噌汁を温め、納豆を混ぜ、明太子、梅干し、あとは冷蔵庫の中次第。

  針治療があれば1時間ほど外出し、なければ2時間ほど原稿の続きを書く。キリの良い所、大体正午前後に自転車でYークマートにでかけ、鮮魚コーナーを見てから、その日のメイン・ディッシュを決める。刺身や煮付け、焼きに好い魚があればよし、なければOケーストアーに移動して、肉を選ぶ。Oケーには、和牛の他、沖縄長寿豚や鹿児島黒豚、佐賀ありた鳥などがべらぼうに安く売っている。難点は魚が養殖と解凍が90%近くで、年間を通じて刺身になるのは、鰹とイナダ、烏賊くらいなもの。あれほど客が多いのに鮮魚だけは100%手抜きなのが不思議だ。

  昼食は自分で作るか、その日の気分で自転車に乗って綱島、大倉山、新横浜、白楽エリアで探す。用事があれば近所の蕎麦屋の「岩月」かレストランの「るる」で済ます。兎に角妙蓮寺は、悲しくなるほど美味い店が少ない。食後は1時間ほど昼寝をして、目覚めればベッドに横になったまま本を読む。いまは子規を再読していて、『仰臥漫録』が面白い。子規はよく喰う。

  <九月二十六日 曇 午後小雨 朝 ぬく飯四わん あみ佃煮 はぜ佃煮 なら漬け(西瓜) 繃帯取替及便通 牛乳一合ココア入 餅菓子一個半 菓子パン 塩せんべい 午 まぐろのさしみ 胡桃 なら漬 みそ汁実はさつまいも 梨一つ 間食 葡萄 おはぎ二つ 菓子パン 塩せんべい 渋茶 便通 夕 キャベツ巻き一皿 粥三わん 八つ頭 さしみの残り なら漬 あみ佃煮 葡萄十三粒>

  ゆうがたサテライトを見ながら夕飯の仕込みをして、午後6時前後に風呂の湯を張り、温泉の素を入れてから入浴する。午後7時前に天気予報、ニュースを見ながら夕食を完成させる頃、まず家人が、続いて娘が帰ってくる。9時前に食事を終えてからは書斎に。ここからは私の時間で、眠いときは眠り、原稿のノリが良ければ続きを書き、悪ければビデオを見る。何かを思いついたら友人、知人宛にブログを書く。疲れてベッドでゴロンとしていればいつの間にか眠っているが、午前2時前後には目が覚める。そこからは机に向かうか、ベッドのまま本を読んでいるといつの間にか眠っている。血圧降下剤の「ミコンビ」を止めたらピタリとトイレに行かなくなった。

八重桜も美しい市営プール周辺横浜市営プールが入っている日産スタジアム

    しかし!! これはいかんぞ。と一昨日までの生活を反省。昼食後の昼寝のあと夕飯の仕込みを済ますと、自転車で20分の所にある横浜市営プールに泳ぎに行くことにした。10ヶ月ぶりかな。6月にある遠大な計画を立てているのだが、脊柱管狭窄症が酷いと実行できそうにないので、まずは腰に筋肉をつける必要がある。

   午後3時から6時くらいが空いている。昨日も午後3時過ぎに出かけた。回数券を買うとき、「濱ともカードはお持ちですか?」と訊ねられ、「えっ?ええ」と応じると10枚5400円が4200円で済んだ。「濱ともカード」というのは、横浜市が65歳以上の老人に発行しているカードで、これを提示すると割引になる。たまたま財布に入れていたのだが、それにしても受付の元お嬢は、私の顔を見るなり65歳以上と推察したことになる。「そうか、自他共に認める爺やなぁ」と些かションボリ。まぁ私は性欲が衰えたところで爺だと思っているので、致し方あるまい。

  この時間帯だけプールはガラガラ。午後1時から3時までは老女軍団が占拠してしまうので避けることにしている。まるでプライベートプールのようだったが、午後4時半を回ると小学生がワンサカやって来て一気に館内が賑やかになる。自宅の真ん前がK北保育園で、朝と夕方になると園児の笑い声、泣き声、喧嘩の声などが大きく聞こえてきて、心が癒やされる。声を聞いて、「お母さんと別れるのが悲しいのだろう」「この子は元気の良い『行ってらっしい『』だなぁ、連れてきたのは父親かな」などと想像するのは愉しい。ここでもそうだ。子ども達の歓声を潮に引き上げる。

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