スローな日々(1265)

長い間の習慣が骨の髄まで染み込んでいるから、身体は自由になってもなかなか精神的にフリーの感覚で生きるのが難しい。何かしていないと落ち着かない。以前H比野研ちゃんたちが、「今更そんなに沢山の本を読むこともないんだから処分していいんだよ」と話していて、私もそりゃそうだよなと思って、大量の書籍を研究室に置いてきたり、小型トラック1台分以上を処分した。もうこれでサバサバしたと思っていたが、またぞろ読みたくもなる。

 生涯の師・故・小島晋治先生が75歳の時、恵比寿で一緒に飲んでいて「もうこれから死ぬまで遊んで暮らすよ」と言って、すでに蔵書を図書館に寄付したり、処分したりしたと話していたが、キッパリ断ち切れたのだろうか。李鋭の『中国民主改革派の主張』という文庫本を2013年岩波から出していたが、あれは小島門下のH建朗さんが、編集者だったから出したのだろうか。

私たちと飲む時は、浅草の芸者遊びやロック座鑑賞、船上花火大会とか、ほとんど学術的なこととは縁遠く、永井荷風の「断腸亭日乗」に出てくるような話題や実践が多かった。

このところ、なんとなく悶々とした日々を送っていたのだが、昨夜何となく見たBSスペシャルが、実に示唆に富む内容だったのでハッとさせられた。

それが「カールさんとテイーナさんの古民家村だより」だった。ドイツから新潟県十日町竹所(たけどころ)に25年前に移り住んできた夫婦の生活と、竹所にあった空き家を再生して販売し、都内や横浜から移住してきた人たちで老人の村が古民家同様再生されたドキュメンタリー。この中に出てくるカールさん夫婦以外にも東京の編集会社を経営していたK井ふささんという私と同年配の女性が、「私の家じゃない?ここ」という気がして10年前に購入、去年から定住したというはなしも心を惹かれた。その彼女の生活が何となく私が75歳以降にイメージしている自分の老後のような気がして、そうだ何も急ぐものはないんだと胸に落ちた。

とにかく目の前にある雑務をさっさと済ませることにした。まずは確定申告の書類。それを税理士事務所に郵送するついでに、散歩に出かけた。今日は暖かいとうより暑過ぎた。白楽のマックが私の「人口密調査」のバロメーターだが、土曜日とあって多い。みんな好きなんだな。特段目的があるわけではないから、最近食べていないマグロ屋さんの卵焼きを求めに行く。正月美味かった三浦大根の糠漬けも置いてあったので、たまご焼きと同じように1本丸ごと買う。

せっかくなので鶏肉屋さんで焼き鳥を10本。帰りに先日、釣り上げた魚の海鮮丼の店で、再度購入。あ〜ここは花屋さんだったのか、雑貨屋さんかと思っていた。今日はノドグロやアジ、赤貝、近海マグロに炙りがっこも入っている。私が買っていると、年配の女性2人連れが来て「私たちも・・・」。きょうは漬物はなし。夜食べると相当美味かった。魚の歯応えが抜群に良い。タラタラ帰ると5068 歩。これぐらいが無理がなくて好い。「スローなブギにしてくれ」ではなく、これからはスローな日々にしよう。

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