東京新聞が愛読者を対象にした「宇野重規教授の「そもそも民主主義って何ですか?」の講演会に応募したら、運よく当たって1ヶ月ほど前に著作と一緒に入場券が送られてきた。そこで1週間ほど前から事前に本を読み始め、準備をした上で今日(9月3日)午後1時半から開かれた講演会に臨んだ。
場所は五反田駅から10分ほどの城南信用金庫本店4階にある大ホールで、私が到着した時は170〜80人だったが、帰るときに後ろを見るとほぼ満席だったから200人以上は来ていたのだろう。高齢者が多いものの、若い人たちの姿も見られ、こうした講演に来る人が多いことを喜んだ。本を読んだので娘に講演の入場券を譲ろうとしたら「その頃はトルコやウズベキスタン、カザフスタンに行っている」とあっさり振られてしまった。
宇野教授は、2年前の菅政権時代、日本学術会議の候補に推薦されながら任命されなかった6人の学者の1人で、どういう人なのか興味がないわけではないかったが、もう一つの理由で、講演を聞きたかった。
それは50年前、私は氏の父上で成蹊大学教授だった重昭氏の『中国共産党史序説 上・下』(NHK出版)の相当熱心な読者だった。韋編三絶とはよく言ったもんで、今の手元にある本は買い直したものだ。中国近現代史を学ぶ上で、道標として重要な本だったし、この本の下巻で紹介された文献一覧を手帳に書き写しては、1冊1冊を神保町や早稲田界隈、中央線沿線の古書店で探した。
私は東京経済大学だったので、図書館に経済の本はふんだんにあったが、中国関係の文献は少なく、わざわざ国分寺まで行って、本がなくてガッカリすることを考えたら専門の古書店を覗く方が効率が良かった。また恩師の小島晋治先生に借りたり、貰ったものも多いが、とにかく大学の3年間は、このリストの本を中心に読み尽くすことが近現代史を学ぶ上で指標だった。
穏やかな語り、分かりやすい言葉を駆使しながら、丁寧に語っていく。その概要は翌日の東京新聞に掲載された。