鹿児島『ふくまん』「あぢもり』(1393)

まだまだ残暑が続く第二の故郷鹿児島に14日から3日間帰ってきた。今回の目的は当初予定されていた桜島の北側にある離れ小島「新島」で予定されていたイベントに参加するためだったが、コロナの緊急事態宣言が解除されたものの、万一を考えて中止となり、さてどうするか。飛行機もホテルも夏前に予約済みだったので、取材したい施設などもあったため出かけることにした。

鹿児島に帰ると真っ先に訪れるのがラーメンの『ふくまん』。記者時代、週に最低でも2〜3回は食べていた。当時は西本願寺の塀に沿って横に長く、確かカウンターだけの店だったような。記憶がぼんやりしているのは、自転車で2分ほど離れた県警の記者クラブまで出前してもらっていたからだ。当時から大人気で、3つ持ってくると別の社がまた「おじさん、こっちも」と注文する。警察官も頼むから休まる時がなかったはずだ。

実直なご主人とその味が忘れられない。店は金生町と変わり大きな店になったが、ますます人気で、この日も行列だった。 先代のご主人は3年ほど前に亡くなり、今は息子さんが継いでいて、目と目が合うと 「あーお帰りですか」と挨拶してくれる。

到着した夜は、必ず騎射場の『勝ちゃん』に顔を出すのだが、今回は「黒豚しゃぶしゃぶ」の『あぢもり』に行った。実はこの何年か鹿児島で「しゃぶしゃぶ」と言えば、地元の人たちが勧める『梅屋』に行くことばかり。雑誌の編集者たちと取材で来た時も、地元の新聞記者OBたちと繰り出したのは、品のいい美人の女将がいるこの店だった。確かに従来の「黒豚しゃぶしゃぶ」のイメージと内容を一新したものだった。

伝統の味を守っている『あぢもり』、場所もその頃新築した建物も45年前と変わらない。とにかく独特のスープの中に、豚バラ、続いてロース、野菜を入れ、たまごを溶いたスープと一緒に食べるシンプルなもの。肉がうまい😋😋、スープとのマッチングが実にいい。ただ私のように唐辛子🌶🌶やネギ好きは、このタレ(お椀に取ったスーブ)の中に入れて食べてみたくなる。そこが新感覚派の『梅屋』と対照的とも言える。

『あぢもり』が以前と変わったのは、銅製?の鍋を使っている点だった。私がいた頃は「武田鍋」と言って韓国から取り寄せた黒曜石をくり抜いて作られた鍋だった。「武田」という名称は、これを勧めた人が「武田さん」だった。彼の、確か吉野にある豪邸にお邪魔したことがある。武田さんは、NHKの後輩にして年上の記者故山田英幾さんの父上(音楽家・一雄氏)の友人で、慶應義塾の相撲部出身という豪快な人で、この方の名前が由来だと聞いた。あれはあれでなかなか趣があった。

NHK鹿児島局ニュースグループの歓迎会、送別会、忘年会は大体『あぢもり』がスタートだった。今ネットで『あぢもり』を見ると1978年創業となっている。私の朧げな記憶では、同じ場所に木造の2階建ての料亭風の家屋が『あぢもり』だったような。今のビルはその場所に建てられたと記憶しているのだが間違いなのだろうか?もう40年以上も昔のことだから定かでない。2階に上がると畳が撓って老舗の風情があったのだが。それじゃあそこはどこだったのだろうか。

2次会はそこから2分ほどのところにあった『柿の実』とコースが決まっていた。さらに3次会は『サンローゼ』、そこから若手は騎射場に繰り出して『勝ちゃん』で夜が明けてくる頃まで飲み、真っ直ぐ県警記者クラブのベッドやソファで眠ることが多かった。これなら遅刻することもなかった。人数が多いとパイプ椅子を3つ並べて爆睡していた。それは東京に異動してからも変わらず、私は現役時代は、災害現場でもどこでもパイプ椅子さえあればよく眠れた。

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