小笠原 島便り 2017(11) 雨☔️の父島入港日 / 613

16日の夜から降り始めた雨は、時折強くなったり、小雨になったりするが、全然止む気配がない。こんな夜に限って40年以上も昔に覚えた李商隠の詩「夜雨北に寄す」を思い出す。普段は全く気にも留めないのに、先日三日月山展望台で見かけた女性が高橋和子(たか子)さんに似ていたことから、李商隠の研究者だった夫高橋和巳さんを連想して潜在的にそう思わせたのかもしれない。「君帰期を問うに 未だ期あらず。巴山の夜雨 秋池に漲り、何時か当に共に西窓の燭を切り、却って巴山夜雨の時を語らん」 


出迎えのブラスバンド(ルージュの伝言♬ など演奏)

▼17日は、おが丸(島の人はおがさわら丸を、こう愛称で呼ぶ)の入港日だ。朝8時過ぎから村内放送で「おが丸は午前11時入港予定です。乗客は525人です」と3度繰り返していた。シャンティバンガローには1家族が泊まる予定だという。F沢夫人が看板を片手に城ちゃん、次女のいづみちゃんを連れて迎えに行くので、一緒に連れていってもらった。この一時期だけ雨が上がった。二見港は迎えや関係者の車でごった返していて、我々の車はこの前の私の時と同様、1番離れた場所に停めた。F沢夫人は、この1週間垣間見るところ”ギリギリ勝負”の人のようで、余り時間に齷齪していない。それが島の過ごしかたというものだろ。見送りは小笠原太鼓だったが、出迎えは女性陣のブラスバンドだった。ほぼ毎週繰り広げられるこれらの歓送迎セレモニーは、訪れた人たちをほのぼのした気持ちにさせる効果があるから不思議だ。

▼観光客が降り切ってしまうと、どの飲食店もいっぱいになるから、慌てて昼ごはんを食べる。観光客のお目当ての1つで、名前からして「島寿司」にはいる。すでに2人が注文の最中で、私も同じく「小笠原寿司」(1500円)を頼む。そこへ180センチ近くはあろうかという中年の女性が一人。彼女は、「ビール、それと・・・小笠原寿司を」といきなり昼前からビールで攻めて来た。遅れてはならじと私もビールとパパイヤキムチ(500円)を追加する。小笠原寿司の特徴は、島寿司と亀の乗った寿司が1個付いてくる。もちろん地元のメバチマグロや袖イカなども。店内は実に綺麗で、観光客には入りやすいかもしれない。味は人それぞれだから何とも言えないが、私は「丸丈」の島寿司の方が好みだった。まぁ量からして食べた感じがしなかった。


島寿司は3個  (写真は2個食べたところで思い出して、パチリ) 2段目右が亀の寿司

▼外に出ると土砂降りだ。この機会に夜の食材を、と生協で探すが入港直後だからまだ何も店頭に並んでいない。向かいのスーパー小祝も似たようなものだ。いやあるある。小笠原近海カジキの切り落としが150円だ。こういうチープなのが大好きなんだな。これを生姜醤油で煮付け、少し唐辛子をふると良いツマミになる。帰りのバスは12時40分だったと思い、まだ20分もあるので、先日不覚にも転んでしまったトイレに向かう。これが大きな間違いだった。トイレから戻ったがやはり「小笠原寿司」だけでは腹が減る。バス停横の弁当屋で「カジキの漬け丼」と鳥の唐揚げ2個を買う。雨は激しく降っている。おかしい?40分はとっくに過ぎているのにバスが来ない。ネットで時刻表を見ると12時30分とある。あぁトイレから出たころかぁ。

可愛いお嬢さんが売っているお弁当屋さん(青灯台前バス停のすぐ向かい)


▼バス停向かいの東屋で、雨宿りしている観光客グループと一緒にスコールが通り過ぎるのを待つ。彼らは上がるのを待ちかねたらしく、添乗員が都合して来た傘をさして「小笠原ビレッジセンター」に向かって歩いて行った。残った私は、まだ1時間近くもあるので、弁当を開いてモソモソ。思いの外美味しい。売店のお嬢さんがとても愛らしくて、彼女目当てに来る客も多かろう。

カレーを作るY沢夫人

小笠原近海カジキの生姜煮

▼帰ると新規の宿泊家族が到着していて、すでに旦那はサントリー角を開けてハイボールを飲んでいる。好い人が来たね。東京から来たY沢宏さん一家3人。結局このあとツマミを持ち寄って、私はカジキを例のように煮付けて提供。途中押し寄せる羽蟻(「はあり」のことを島では「はねあり」と呼んでいた)攻勢や長男の五郎ちゃんが怖がるガマガエル軍団に翻弄されて、途中1時間ほど休憩、午後9時過ぎから再度飲み直し11時まで。Y沢さんは、炭酸水を宅急便で事前に送っておいたというから、本当にハイボール好きなんだ。奥さんの秋子さんがキーマカレーをサッサと作ってくれて、いい宴になった。 外はまだ激しく雨が降っている。 

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