小笠原 島便り2017  ⑩ リベンジ  /  612

朝は野鳥の声だが、真夜中静寂の中で、「キュン、キュン、キュン」と鳴き声がする。最初は末っ子の城ちゃんの夜泣きかと思っていたが、さすがに違いすぎる。朝食堂で一緒になったあかりちゃんに聞くと「ああ、あれはヤモリの声ですよ」「ヘェ〜そうなんダァ」と驚いたが、志賀直哉の小説か何かで読んだ記憶があるような。『城の崎にて』?。いまは雨の音しかしない。いやいや小さな音量でベートーベンのバイオリン ソナタを聴いている。 

▼平日、F沢夫人は午前8時45分に城ちゃんを街中の保育園に連れて行くので、昨日に引き続き便乗させてもらう。JA直販店前で降ろしてもらい、向かいの通りを渡って路地を入って「おつかめ屋」を覗く。お兄さんに昨日の<敗北の構造>を説明すると、「じゃ浮きなしで、直にアサリの餌をつけて釣りますか?」「釣る、釣る」また糸の巻き方を実演してもらいながら、ポイントを聴くが、釣り場に行くとすっかり忘れているんだなぁ、なぜか。今日は風もなく、少し雲も出ていて、好い感じ。「青灯台」と言うけれど、どう見ても「白灯台」だ。 

左端が白い「青灯台」の一部

肉眼だとよく見えるんだけど・・・・。

▼海面を覗くと随分深くまで透き通って見える。釣堀のような魚の多さだ。綺麗な熱帯魚ばかり。まずはアサリをつけて、それにしても針というのはどうしてこうも色々なものに引っかかるのだろうか。リールを投げる時に指に引っかかって痛いのなんの。気分を入れ替えて、針を垂らすと、何?グッグと来る。アタリというのはこれか!リールを巻くと小アジのような大きさの綺麗な魚が釣れていた。いかんぞ、この感触、クセになりそう。F(木啓孝)ちゃんが言っていた「釣り師一平(本名)」だ。 

▼昼までに3匹釣れたが、大きな魚を、ホント、釣り上げようとしたら、天秤(弓形の金属で出来た釣り具)ごと持っていかれた。ちょうど好い時間だしと休憩にして、昨日休みだった中華料理の「海遊」で昼食をとる。この店の売りは、ご主人が横浜中華街で修行したことらしい。人気のタンメンと水餃子を注文。目の前に大村海岸が望める絶好のロケーションだ。2階はホテルになっている。水ではなく持参の「十六茶」を飲んでいると先に水餃子が出て来た。写真を撮りたいので少し我慢。そうだ、「十六茶」は島内では、いまのところ2箇所の自動販売機でしか確認できていない。「おつかめ屋」前と「小笠原生協」横だ。大丈夫かガッキー!9月から「ドクター・ヘリ」に3度目の搭乗らしいね。フジテレビをDr.ガッキーは救えるか?だね。 水餃子は圧巻だった。この感触。スープとのコンビネーション。これなら2人前でも行けそうだ。

「海遊」で1番人気のタンメンと水餃子

デザートにカキ氷を食べたが、氷の粒子が荒い

▼いつものように島の習慣?に倣って大樹の下で昼寝した。先日のベンガルボダイジュの下は、既に作業員のお兄さんの寝床になっていた。ちょっと離れた場所の似たような木の下でZZZZZ。 昼寝を終えて青灯台に戻る。もちろんバッグ以外は置きっ放しだ。少し日差しが強いので灯台の陰にクーラーを置いて、その上で仕掛けを作り直す。午後は、錘と餌を付け替えて釣ってみる。暫くすると同じ魚がまた、また、また。結局6匹の釣果があったところで引き上げた。 

島で1番ポピュラーな魚で通称「縞鯛」(正式には「ロクセンスズメダイ」とバンガロー主人のF沢さんに教えてもらう)
何と言っても「鯛」だから鱗が大変
老人に優しく親切な あかりちゃん

今夜もツマミだけの夕飯    ニンニクをいくら食べても他人と話す機会がないので平気

▼帰ると早速鱗を取って、これは生まれて初めて、習わなくてもどうにかなるもんで。生協で買った出汁醤油を3倍に薄めて、SBのチューブの生姜をいれて味を整える。まぁいいんじゃないかな。6匹なので、Sさんとあかりちゃんにも2匹ずつある。出来上がったところに丁度Sさん登場。「これさっき釣れたばかりなんですが、食べませんか?」と勧めるも、「結構です、他に食べるものありますから」とあっさりボツになった。そう言う話ではないんだけど・・・。哀しい。暫くすると今度はあかりちゃんが帰って来た。「今日は釣れたんだよ。食べない?」「わぁすごくイイですね。戴きます〜」と軽やかな反応。嬉しい。こうでなかっちゃ。でもあらゆる事に無理強いはいけない。太田省吾さんの『千年の夏』にあるように、距離の取り方は難しいのだ。それにしても自分で言うのチョットへんだが、美味しい。 

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