小笠原 島便り2017 ⑧ 自転車に乗って (午後から) / 610

宮之浜海岸から再び坂道を戻ると昼を随分回っていたので、繁華街の食堂を探す。昨日の自称” 小笠原一美味い店”の「じんべぇ庵」と一昨日の寿司と亀料理の「丸丈」との間にある「波食波食」食堂に入る。店はどの席も埋まっていて空いているのはカウンターのみ。黒眼がちのキツイ表情だけれど、ガツ〜ンと綺麗な女主人がキビキビ対応する。誰かに似ている???? 悩んだ末に思い出した。エリザベス・テーラーだ。「夕なぎ」とか「別離」とか少し薹が立ってからの方だが。それでも、この手の美人には、ついつい気後れしてしまう。「島魚の漬け丼とスタミナ肉野菜炒めお願いしま〜す」

こういう形で出てくる

魚を卵入りのタレに漬けてかき混ぜ、ご飯に乗せる

ニンニクが効いたスタミナ肉野菜炒め  クセになりそう

▼このところ、野菜らしい野菜は、昨日食べたフライの時のキャベツ少々と玉ねぎくらいなものだ。漬け丼は、この日の魚はヒラマサだが、私がイナダで作る「嬉野」に似ているから、卵の黄身を和えて、丼ご飯に乗せれば真似できそうだ。確かに看板メニューだけあって、なかなか的を外していない美味さ。やはり魚がシコシコしていて新鮮だからだ。それにしても黄身と和えるというのは、思いつかなかった。赤坂「とど」のリュウキュウと同じ食べ方だ。「とど」は、うずら卵だが。

歩行者と自転車だけの近道隧道

木の名前は分からない  クスかな?

▼食後は今日も大樹の下で昼寝した。ぐっすり眠れるから不思議だ。この日は、古い隧道を自転車で通り抜けたら出て来た所に、バッチリトイレとお目当の休憩場所を発見したのだ。寒いくらいの風で目が覚めた。トイレを済ませて、ここから山の方に自転車🚲を走らせると森閑とした道が続いている。全く人も車も通らないが、道路は凄く立派で、しばらく行くと小中学校の裏側に出た。そこから一気に下ると二見港に出る。 

三隻の向こうにもう三隻

▼おや?街の中が賑わっている。しかもおがさわら丸が停泊していた場所に、海上自衛隊の掃海艇6隻と母船1隻がずらりと錨をおろしている。そう言えば、10日に着いたときに掃海艇「ちちじま」が港内の端に停留していたな。合同訓練の下準備だったのか。街は制服を脱いだ自衛官がいっぱいで、お土産屋さんは外まで人があふれていた。やはり海の男たちも陸に上がると落ち着くようで、コロナビールが飛ぶように売れていた。 

▼たまたま掃海艇に出会ったからなおさら強く思うのだろうが、安保法制以来、きな臭い匂いが強くなって、今度は共謀罪が成立する。首相一人がとんでもない好戦者だと、世の中はこんなにいとも簡単に変えられてしまうのか。自由と民主の政党の名が有名無実で、誰一人抵抗しないのか。村上誠一郎さんはどうした。こんな政治を変えるのは、選挙で危険な政治家を落として行くしかないのだが、虚しい。その象徴として父島には松原仁さんの、何年前に貼り出したか分からない日焼けして表情が読み取れない、色が薄くなったポスターが所々に貼ってある。それにひきかえ、綺麗なピカピカの安部首相と都議の誰かとが写ったポスターが目につく。これだけで、今の政党の勢いがよく分かる。 
刺身は、左がカジキと尾長鯛(父島近海)鱧の蒲鉾

▼夜は25歳のあかりちゃんと一緒に食堂で食べた。私は晩酌。あかりちゃんは自分用の味噌汁を作り、ご飯をチンして、私の刺身を一緒に食べてくれる。嬉しいな、素直な子で。あかりちゃんは、地元のJAに勤めている名前通りの明るい性格だ。このシャンティーバンガロー でアルバイトしているときに知り合った日本人とドイツ人のハーフの海君と恋仲になって、いまはラブラブ状態。秋に扇浦でシェアハウスの経営を始めるという。その仕事の関係で、彼が”内地”(小笠原の人は、本土のことをこう呼ぶ)に出かけているのでつまらなそうだ。次回は必ず彼らのハウスに長期宿泊する約束をした。

スポンサーリンク

フォローする

スポンサーリンク