乗船順位は、乗車賃の高い順に案内される。「700番代、600番代のお客さまから、お乗りください」私は381番と格安運賃だから、最後の200番代と同じグループだ。「身の丈にあった人生」が私のモットーである。料金は月によって微妙に変わる。行きは23000円代だったが、帰りは25000円代。7月に観光客が増えるからなのか。最初インターネットから購入するため、会員登録してから購入しようとしたが、はねられる。何度やってもおんなじで、小笠原海運に電話したら調べてくれた。理由はすぐにわかった。1ヶ月ほど前にMacの画面に「ウイルスに感染する前に」との広告が出ていて、ちょうどサイバー攻撃の記事を読むことが多かった時期だったので、少々高かったが、インストールした。これがかなりキツめのワクチンだったらしく、小笠原海運のサーバーだと、はねのけてしまうのだという。これには参った! その時の窓口の方の対応が親切で、色々説明してくれて電話で受けてくれた。早速銀行から代金を振り込むと、即「乗船チケット引き換え券」を送って来た。何事も親切で、スムーズで、気分が好い。
▼小笠原丸、通称「おが丸」は、昨年の7月に新しい船に変わった。それまでは25時間半かかっていたのが、24時間。何と1時間半も短縮されたのだ。新しい船は、旧船の短所をことごとくカバーしていると、さっき「私は何度も来ている」と豪語していたおばあちゃんが教えてくれた。エレベータが出来て重い荷物を抱えて階段を降りなくて済むようになったという。だが乗船してみると再び階級の壁に阻まれた。7階から4階まではエレベータが使えるのだが、3階までは行っていないため、4階から階段で重い荷物をもちかかえて降りなければならない。つまり船内は、7階にある「特別室」がペントハウスのようなもので、階ごとに安くなっている。私たち300、200番代は3階の船底組だ。もちろんベッドなどではなく、畳の上にマットを敷いて寝る。全て指定席で、私は「1番」だ。何だか良い席のように思って覗いてみると、入口の直ぐ横で出入りが多く、期待とはウラハラ。なぁに寝て仕舞えばいい。午前10時55分、ドーンと銅鑼がなり、暫くすると汽笛が大きくひびきわたる。出港だ。