ノラや(1442)

たまたま内田百閒さんの『ノラや』を読んでいて、ここ2週間も顔を見せない我が家の野良猫マミちゃんのことが気になってしょうがない。この間年末年始も我が家の会話は「マミちゃん来た?キンちゃんは?」である。家族みんなが心配している。

マミちゃんはこのブログにもしばしば登場してくる茶色猫のことで、2〜3年前から姿を見せるようになった。飛んでもなく人なっこくて、「絶対飼い猫だった」「今も飼い猫だけどこの界隈に紛れ込んだに違いない」と何の根拠もないのに朝食や夕食の時の話題にのぼる。

百閒先生の本にはこんな下りもあった。<どこかの飼い猫が迷っているのかも知れないが、こうしてうちにいる以上、ひもじい思いはさせたくない> 全く同感あのである。

今朝も家人は、左の目を年末怪我していたから最近出没するアライグマに殺されたのでは?とネガティブに考える。私は、寒い日が続くから退屈な部屋の中の生活に我慢していて外に出ないんじゃないの。春になったらヒョコと来るさ」とポジティブなのは性格の違いだろうか。

百閒さんのノラは、マミちゃんに似て人懐こい。それに比べてキンちゃんは、いつも周囲を窺っていて指名手配中の革命家のようにキョロキョロしながら餌を食べ、終わると振り向きもせずさっさと消えていく。その仕草、後腐れなさが我が家の家人と娘の2人には好評で、「キンちゃんは立ち去り方が好い」と毎回消えていくたびに褒められている。

<昨日のキンちゃん>

それだけにあまり可愛がられもしなかったマミちゃんの消息不明は、我が家にとっては大事件で、いつ来てもいいように餌は皿にもって雨がかからない軒下に置いてある。今夜(1月10日)から雨だという。この寒い中を2匹の「ノラ」はどこで過ごしているのだろうか。

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