氷雨の中の花見酒 上野東照宮 / 542

 もの好きは私ばかりではないことがこの日、3月26日よく分かった。氷雨の中、昨日に続き花見に行った。今度は上野公園にある東照宮。「寒い、寒い」といいながら午後3時45分に会場の屋台裏に到着。なぜか私は45分も遅れてしまった。1時間時計を読み間違えたのだ。ヤバいなぁ、もうアルツかとちょっと不安。

   

 この花見の会は、『K田組』と『もゝ組』のコラボなのだが、何と『もゝ組』の主要メンバーが、この寒さを前に軒並み日和って?5〜6人が脱落。でも『K田組』のほぼ全員は、「もゝ」のお客さんなので、まぁ垣根はないから。唯一あるのは、六本木店時代からの常連組と赤坂店からの私のような非常連組かな。あんまり関係ないけど。

 K田組の組長のKという字は、車の両脇に糸が立ち、下に口がある。白川静さんの『字統』P717を見ると、<馬鼻の紐を中心として、左右に紐をめぐらしている形で、字は全体がその象形>と記してある。確かに馬の鼻ぐりに紐を通してあるなぁと古人の表現力に脱帽してしまう。そのK田さんは、元A日新聞記者でテレビA日・Nュースステーションのコメンテーターをやっていた関係で、今回の花見客の多くは、その当時のお仲間たちのようだ。その数11人、中にはあのK宮悦子さん、というより「悦ちゃん」も参加していたのでビックリ。思わず「生・悦ちゃんだ!!」と叫んでしまう。ホント。
  兎に角、桜はまだまだだが、気分はみんな絶好調で、ドンドンお燗した大関が空になっていく。そう言えば昨日も大関だったなぁ。確かに屋台はカップ大関の独壇場だ。つまみは屋台から買ってきた烏賊焼きや煮込み、焼き鳥で、これはこれで美味いもんだ。雨の中屋台の人たちも大したもんだ。

   

 二次会は公園脇の薩摩料理の店で、キビナゴの刺身を久しぶりに食べた。ホルモン鍋で身体が暖まる。たまたま悦ちゃんが隣の席で、話している内にドンドン知り合いの名前が出てくる。一番驚いたのは、F木を知っていたことで、そうなると急に十年来の知己のように会話が弾む。さらにテレビT京のA部欣ちゃんと「この前呑んだ」と聞いては、話は桜の蕾以上に膨らんだ。

  3軒目は、上野駅から御徒町方向に進んだ何の店だったか思い出せない、そこでは、もう全員が満開状態の飲みっぷり。というかその頃は呑み疲れて、そんなに盛り上がらなくても、自然に酔いが好いように回ってくれる。それにしてもK田さんの呑むこと呑むこと、「強い!!」のひと言。84歳とは到底思えない。もゝの和枝さんが、父親のように気遣う。酔うと「もゝ」の六本木組と我ら、といっても私1人だったが、新参者かつ非常連の私とでは、親密度に差が出てくる。そりゃしょうがないわなぁ。でも実に愉しい。いかに「もゝ」の客が好いかがよく分かる。H川さんという耳鼻咽喉科のお医者さんと「いんこう」噺に花が咲き、ゲイ・タリーズの『汝の隣人の妻』やトルーマン・カポ-ティーの『冷血』で盛り上がる。

 このあと店の前で解散となったが、飲み足りない組はさらに場所を移して欣ちゃんも呼び出して、午前2時過ぎまで呑んだ。それにしても悦ちゃんも凄い呑みっぷりで、K田組は酒豪ばかりだった。雨降りの中の花見酒、これまた乙なもんでやンした。この日は大満足。

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