退屈の利用法   / 571

今日から5月。ソフィーの結婚式が終わると私の予定はほとんど無くなってしまった。「退屈か?」と訊かれれば、「いえいえ、そんな・・・」。2日に弓立社から下旬に出す予定の『検証「若き哲学徒」死の真実』の最終ゲラの校了で、夕方から神保町に行くくらい。12日は新橋のインド料理店で『おひとりさまで逝こう』の出版記念パーティーがあり、そこで締めの挨拶をする予定だが、主賓のU野千鶴子さんのスピーチがあるので、私がしゃべるのは、本が出来るまでの悪戦苦闘噺程度だ。娘の誕生日を終えたら、また旅に出るつもりでいる。

 植草甚一さんのファンだが、最晩年の作品に『退屈の利用法』がある。1979年12月に経堂の自宅で亡くなったが、その直前まで伊豆韮山の温泉病院に入院していて、毎日が退屈なので病院内の様々なことをノートに書き綴った。その一部が「退屈の利用法」や「妄草の刈り入れ時」として、この本に収められている。では定年後の私の「退屈の利用法」は? それが以前書いた「老人の一日」だ。私は脊柱管狭窄症だが、どうにか自由に動き回れる分、まだまだ「退屈」と思ったことがない。

    私の「退屈の利用法」のひとつは、居酒屋巡り。贔屓の店は数々あるが、一番よく行くのは大倉山の居酒屋「ほうろく屋」。このところ何かと多忙だったり、家で夕飯を作ることが多かったりで、丁度1ヶ月ぶりだった。

    日曜日は、女将さんのちゃこちゃんが休み。マスターが午後7時までやっていて、その後、中年オヤジに大人気のジュンちゃんがやって来る。それまでは空いているので午後5時過ぎから飲み始めた。連休2日目の、しかも日曜日だったが、大トロがあって、ホタテ焼きも食べたので十分満足した。もちろん梅干しも。午後6時半に引き上げた。

     帰りに妙蓮寺のラーメン屋さんで今季初の冷やし中華を食べた。この店は数回入ったことがあるが、店先の「冷やし中華」の幟旗を見て、食欲がそそられ、気がついたらカウンター席に座っていた。極めて普通の味だった。

    帰ってからBSの「立花登青春控え」を見る。今期は面白いドラマがほとんど無く、テレビA日の昼のドラマ「やすらぎの郷」と韓流の「客主」「商道」「逆賊」を見る程度だ。中でも「やすらぎの郷」は各紙の批評でも好評のようで、私も録画しておいて、あとで一気に見る。

    たばこを吸う場面がやたらと多いことや、ドラマの中で往年の俳優や女優たちに現在のテレビ番組の酷さ、そこに巣喰うテレビマンの無節操さを嘆かせるところが、K本さんらしく、それが随所に出て来る。私も老人なので、K本さんのテレビ批判はよく分かる。

    テレビに飽きたら熱い風呂に温泉の素をいれて入れば、極楽、極楽。退屈する病院生活を避けるためにも、健康に気をつけて入院しないことだと肝に銘じた。

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