久しぶりの飲み会 (1483)

コロナ禍で友だちとの交流も途絶えていたが、先月末から徐々に回復し始めた。トイレ探検隊以来親しいM森直昭さんとは、青葉台のアジアンレストランで、笄町の『ゴンタ』仲間とは、先週土曜日に目白で、そして今日(4月9日)は、赤坂の『もも』で、2年半ぶりに元朝日新聞のM山治さん、O山俊宏さん、テレビ東京のA部欣司さんと午後6時から10時過ぎまで、よく飲み、よく語り、よく笑った。

3人は、ご存知の通り新聞、テレビ界屈指の特ダネ記者で、A部欣ちゃんはつい先だっても東芝問題でスクープを連発していた。この中では最年少であり、唯一の現役記者だ。朝日の調査報道の旗手だったOちゃんは退職して、この4月から上智大学教授になった。そしてM山さんは、今も取材、執筆活動を続けていて、意欲も全く衰えていない。

私はM山さんに会うと、いつも真っ先に訊くのが、お孫さんの話で、もう小学生になるという。我々が老いたわけだ。私は他人のことで羨ましいと思うことはまずないのだが、「孫が家に来て押し入れを『基地』だと言って、グシャグシャにして困るんだよ」と愉しそうに嘆く話を聞きながら、孫のいない私は羨ましく思う。

全員揃ったところで、まずは再会とOちゃんの教授就任を祝って赤ワインで乾杯。授業は来週からスタートで、ゼミも始まるという。「朝日は結構上智OBが多いことを今回初めて知りました」とOちゃん。記者というのは、初任地はどこだとか、何の特ダネを書いたとかは知っていても、どこを出たかは意外と関心が無い。私が親しい編集局長もそうだし、総理大臣を務めたH川護煕さんもOBだ。しかも鹿児島が初任地だった。

共通の話題は、どうしても事件に向かい、今の司法制度、裁判官、検察官、弁護士を取り巻く惨憺たる現状をM山さんが解析する。相変わらずシャープな人で、物忘れが酷い瘋癲老人の私とは雲泥の差だ。M山さんの話をテープに録って文字起こしをすれば、そのまま『日本の司法制度の暗部を抉る』的な本が出来上がるだろうと話しを聞きながらふと思った。

<日本の民主主義は破壊した男と私が思っている石田和外>

私は日本の裁判ばかりか、日本の民主主義を歪めたのは、最高裁判所長官だった人物だと常々思っているのだが、この話をするのに、肝心の名前が出てこない。「えーと石、石なんとか、あーあ石がついた・・・」と唸っていると、Oちゃんが、「石田和外(かずと) ですね」とフォローしてくれる。しかも佐藤栄作総理の時代なのに、年代がもっと前のように勘違いしていて、M山さんに「佐藤の時代で、長期政権になるとどこをどうすれば、自分の思い通りになるかが分かってるんだよ」との指摘。「あーアカンわ」と私。

<こういう裁判官もいたのかと驚かされた瀬木比呂志氏>

しかも最近読んだばかりの『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』(講談社現代新書)『檻の中の裁判官』(角川新書)の著者が凄いという話をするのに、著者の名前が出てこない。アルコールが入ると最近は特にひどい。元々弱い記憶力がますます減退して、ウンザリする。ただこんな場合でも、すぐOちゃんが、「あぁ瀬木比呂志さんですね」と教えてくれる。この本は、M山さんが今夜話していた内容と共通点も多く、もう一度読み直してみようと思った。こうした話の中で、M山さんが、「O山君は、本当に優秀だから。こんな記者、他にいないよ」と記憶にあるだけで3度言っていた。全幅の信頼を寄せていることがよくわかる。彼の講義を受けられる学生は幸せだと思う。ましてやゼミ生ともなると有意義な学生生活を送れるはずだ。

欣ちゃんからは、最近の経済事件の話を聞くが、門外漢の私は、ふーむ、ふーむと。そうした流れの中で、久しぶりに尾上縫女史の名前が出て、バブル経済の頃の関西の事件の話に展開、当時の取材話しにも花が咲いた。

<近日発売、Amazonで予約発売中>

今月発売されるOちゃんの『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実』(朝日新聞出版)には、欣ちゃんが実名で登場するという。彼が若くて好いのは、話をしていて出てくる人物の名前を、すぐにスマホで検索して我々に見せてくれるところだ。「ほーなかなか⭕️⭕️やね」などと反応しながら見る。やはりテレビ業界人だけあって、映像が説得力があることを熟知している。

『もも』は、飲むだけでなく、料理も美味い😋😋😋。次々と出てくる逸品に、舌鼓を打ちながら酒と話に酔う。まぁ書けない話がほとんどだが、こうして忌憚なく語り合える友人と、やっと気軽に会うことができるようになって、身体だけでなく経済やコミュニケーションまで破壊し続けるコロナを改めて悍ましく思った。

店の前でOちゃんと、赤坂駅前でM山さんと別れて、私は立ち食いそばの『吉そば』へ。欣ちゃんとは、「帰る方向が同じだからそばも付き合う」という。ところがもう午後10時を過ぎていたため、店は閉まっていた。まぁそれだけ長く語らいあっていたということだ。

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